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【インタビュー】レジェンドに聞け!
<惜しい!あと数ヶ月で勤続50年だったのに!!>
2017年1月27日に互助交通を退職した永島さん。
転職や独立が珍しくない今の時代にひとつの会社で長く働き続けることができた、そのヒミツを語っていただきました!
― 永島さんがタクシー乗務員になろうと思ったきっかけは?
こちらにお世話になる前は運送会社で働いていました。運送会社からタクシー乗務員に転職をした知り合いから「荷物を運ばなくて楽だよ」と話しを聞いて、腰掛け程度でいいからちょっとやってみようかな。そんな軽い考えです。互助交通のことは前の仕事でこの辺りをよく走っていたので知っていました。錦糸町の駅から会社まで歩いて通える距離はいいですね。今も昔も松戸に住んでいて、会社までの通勤は1時間ちょっとです。
― 稼げるってどれくらいなんですか?
私がこちらに入った当時の大卒初任給は3万円くらいだったと思う。初乗り100円の時代。それがタクシー乗務員になると20代そこそこの若者でも一流企業の部長クラスのお給料、6~7万円稼げたんですよ。今じゃ考えられない、いい時代でしたねー。それからチップもすごかったんです。当時はいまと違ってタクシーがじゃんじゃん走っていないし、交通も発達していないから、タクシー乗り場では「品川に行く人、誰か他にいますか~?」と声をかけ合い、知らない人同士で乗って割り勘じゃなく一人ひとりから運賃がもらえました。それとは別にチップをくれる。これがまた結構いい金額で、仕事が終わったらチップを握りしめて、みんなでパーっとね(笑)。あ、これはナイショね。
― こんなに稼げる仕事に就くと、もっと稼げるタクシー会社に行こうと思わなかったのですか?
正直な話しをすれば、会社に属した乗務員より個人タクシーの方が稼げるのは知っていたから、一度は考えましたよ。でもその頃は個人タクシーなるためには、住所も東京という条件があって、子どもがまだ小さな頃だから引越しで環境が変わっていろいろ大変な目にあうでしょ。そこまで無理して個人タクシーになることもないと思ってね。
でも一番は社風かな。互助交通は稼ぎにうるさくなくて、みんな仲間思いのアットホームな社風が居心地よくて、他に移ろうとは思ったことないです。誕生日になると管理職の人からプレゼントに靴下をもらったり、お正月に出勤したらお雑煮を作って待ってくれていたり、家族とはまた違う温かみを感じる会社でしたね、うん。
あとは堅実経営。同業がタクシー以外の事業に手を広げすぎて、バブル崩壊と共にダメになったのを見てきましたが、互助交通はタクシーだけ。結局それがいいんですよ。
― ぶっちゃけ、仕事に飽きることはないんですか?
全っ然ない!毎日行く先々でいろいろな人を乗せるのが楽しくて仕方ないです。詳しく言えないけれど、そうだなあ…芸能人やアナウンサー、落語家さんやお相撲さん…。駅や大きな建物の乗り場からサッと乗ってきて、車内ではじめて気づくこともあります。都内はどんどんと新しい道が増えているから、それを知るのも楽しいですね。50年近くやっていてもいまだに自分の知らない道に出会えると楽しい気分になります。カーナビはほとんど使いません。カーナビなしでも都内の道はだいたい分かります。それにカーナビはタクシーが入りづらい生活道路まで案内するから、下手に信用すると危ないんですよ。
話しはちょっと逸れますが、自信のない地域の道を走る時は素直にお客様に聞くのが一番。知ったかぶりをして走ってからトラブルになるより始めから「教えていただけますか」と聞くほうが何倍も楽だし安全。自分があまり道に詳しくないことを告げるとだいたいのお客様は教えてくれますよ。帰る時に「この道と繋がっているんだ!?」という発見もありますし。
― 今回は家族の心配もあって止む無く退社になったのですが、
50年近くも続けてきた何かコツでもあるんですか?
家族が許してくれるなら、まだまだ全然働けるし働きたい(笑)。昔から体は頑丈で、怪我や病気は本当に縁がない。腰を悪くしたこともない。よく公園の近くでシートを倒して車内で寝ている乗務員さんを見るでしょ。私は絶対にあれをしない。昔、深夜にクルマの中で仮眠を取って大失敗した経験があるんです。ほんの少しだけ寝ようと思って目が覚めたら朝日が昇ってた。それからと言うものの、お昼休憩と夜の休憩は必ず会社に戻って、畳の間で足を伸ばし、ゆっくりご飯を食べて仮眠を取って、すっきりしてからまた勤務に戻る、ほぼ同じ生活を続けてきたことがコツらしいコツかもね。
会社に戻る時間が無駄、もったいないという人もいたけど、結果的にこれが自分に合っていて長く続けられたから。他の人は他の人なりにそれぞれの休憩方法があると思いますよ。
― この仕事を続けていく上で大事なことってなんですか?
自分の殻に閉じこもらないことかな。この仕事は自分の腕で稼ぐ職人みたいなものだから、研究を重ねないとダメ。それには同僚からいろいろ情報を集めて自分なりに稼げる方法を見つけなきゃならんでしょ。自分の殻に閉じこもっていたら、せっかくのいい情報もどんどん逃げていっちゃう。
私はね、東京駅とか駅のロータリーでお客様が来るのを待つ、いわゆる“つけ待ち”はしない流し専門。長い時間待って乗せたお客様がワンメーターの距離だったら、人間ですからガッカリして当然です。それならつけ待ちはやめて、流しで稼げる場所を先輩から聞いて走ったほうが楽しい。経験が物を言う仕事だから、研究熱心で人の輪にすぐ溶け込めることが大事だろうね。